本山雅志、オリヴェイラ、FOOL for GOAL
前節11月24日の浦和×鹿島(さいたまスタジアム)は、素晴らしいゲームでした。鹿島びいきの僕としては、その勝利に久々に興奮できたのは勿論ですが、何より、局面ごとに変化するチームの戦略や戦術といったものを堪能できたという意味で、今年のベストゲームの一つだったのではないかと思った次第。
試合の様子を伝える今週発売された専門各誌(紙)は、DF岩政やGK曽ヶ端あたりをMan of the Matchに選んでいました。ホント、この日の鹿島DF陣はカルチョっぽかった。カテナチオ。なのだが、個人的にはMF本山じゃないかと。
浦和目線だと、ワシントンや永井、パワープレー時の闘莉王を完封した、鹿島のCB2枚岩盤(大岩&岩政)に目が行きがち。浦和優勝の記事を狙った記者たちも、各誌のグラビアも大岩&岩政vsワシントンの写真がメインだったことを考えると、まあそういう目線だったのだろうし、必然的に「鹿島DF陣の奮闘!」という落ち着きどころになるんだろう。
が、これを鹿島目線でゲームを俯瞰するならば、前半終了間際の新井場の退場以降、MFの位置から左SBに入った本山の働きこそMVPである。本来、攻撃的な局面で発揮されるボールのキープ力によりディフェンスの穴を埋め、さらに、左サイドバックという位置から、オフェンシブなチャンスを窺う。決勝点となった野沢のゴールに到る流れも素晴らしかった。
闘莉王の前線へのフィード(右サイドのワシントンへ)
↓
パスミスとなり、ワシントンの対面にいた本山がボールをキープ
↓
鈴木の寄せをかわして前線のマルキーニョスへフィード
↓
マルキがダイレクトで田代にはたく
↓
田代が左に持ち込んで坪井と闘莉王の裏にスルー
↓
左サイド、フリーになっていた野沢、
左斜め45℃の角度(デルピエロゾーン!!)からダイレクトでシュート
というのがゴールに到る流れ。デルピエロ級の野沢の技術もハラショー♪ こう書くと、本山はMFとしての起点になってるということだけのように見えがちですが、その2つ前のプレーで、左SBとして、自陣左サイド深くまで侵入してきたワシントンにハード身体を寄せて(ふっ飛ばされそうになりながら)きっちり抑えてるわけです。そのシーンからゴールまで、ほぼ1分。このわずかの時間のあいだに、一人で攻守を切り替えた本山選手の高い能力こそ、このゲームのツボだったと思う。
そして、その能力を引き出した、オリヴェイラ監督の戦術眼の素晴らしさも忘れてはならないと思う。
普通、鹿島のように「4−4−2」の布陣で、4バックの1枚が欠けた場合、攻撃的な選手を一枚削って、守備的選手を投入して穴を埋めようとするもの。この日の鹿島の場合、SBのバックアップの石神が警告累積で出場停止、守備的MFの中後を投入し、FWを一枚削るか、あるいは去年までであれば、本山選手が交代されるというパターン。が、後半に突入しても、選手の交代は行わず、本山のMFからSBのポジションに下げるという選択は、「1点取るまでは攻め手を緩めない、勝ちに行く」という監督の意志がフィールドに強く伝わる采配だった。
結果論かもしれないが、このオリヴェイラの選択は、浦和が「本山にとって不慣れな左SB」というポジションを突くという明確な攻撃のシフトを促し、鹿島にとっては、その明確さゆえに守り易さを生んだようにも思う。
サイドの突破に対してきっちり身体を寄せ自由にセンタリングを上げさせない。中央のCBが弾き返したルーズボールを拾ってサイドに展開する。SBの仕事はそこまでだが、自らボールをキープし、持ち上がり、決定的なパスを通す。それは本山だからできるプレーだし、その能力を信じて交代カードを切らなかったオリヴェイラ監督の彼への信頼と戦術眼が生んだ素晴らしい1分間だったと思う。
サッカーとは、そんな美しいゲーム。
寄せては返し、返しては寄せる。
僕は、オシムの言う人もボールも動くというスタイルが、どういうものなのかわからないが、サッカーというゲームの美しさを久し振りにみた気がした。
寄せては返し、返しては寄せる。その連動性を生み出すのは、ゴールへの強い想いであることは間違いないだろう。「FOOL FOR GOAL」ということか。。。
あ、U22代表のサウジ戦に欠けてたのは、これだ! 本気で守ってんだけど、本気で攻めてない感じ。リアリストのサッカーとか監督自身が自画自賛していたような気がするが、サッカーの本質を忘れないで欲しいと思います。特に若い世代にはね。
ということで、いよいよ明日は最終節。清水戦。鹿島スタジアムで有終の美を飾ってほしいもの。浦和次第ですが。
■予想: 鹿島 2−0 清水
横浜FC 1−1 浦和
なんてね。
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (1)


最近のコメント